こんにちは、税理士の山下です。
久しぶりの投稿です。公益法人に関する制度が今年の4月1日から大きく変わります。その中のひとつに、外部理事及び外部監事の導入があります。
去年の12月初め。「顧問税理士に監事になってもらっているのだが、顧問税理士は外部監事に該当しないらしく困っている」という相談を受けました。
令和7年4月1日に施行される認定法の第五条(公益認定の基準)第十五号において「理事のうち一人以上が、当該法人又はその子法人(中略)の業務執行理事(中略)又は使用人でなく、かつ、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定めるもの。(以下、略)」とあります。また同第十六号においては「監事(監事が二人以上ある場合にあっては、監事のうち一人以上)が、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。」とあります。これが外部理事及び外部監事に関する記載ですが、どこにも「顧問税理士は外部監事になれない」と読み取れるものはありません。
もし該当するとするならば第十五号にも第十六号にも記載のある「その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者」です。これに関しては令和7年4月1日施行予定の認定法施行規則に記載があります。理事に関しては「第四条 法第五条第十五号の内閣府令で定める者は、次に掲げる者でない者とする。 第1号 当該法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員 第2 号 当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者 第3号 第1号に掲げる者が法人である場合にあっては、その役員及び使用人 第4号 第2号に掲げる者が法人である場合にあっては、当該法人及びその子法人の役員及び使用人」とあります。また監事に関しては「第五条 法第五条第十六号の内閣府令で定める者は、次に掲げる者でない者とする。第1号 当該法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員 第2号 当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者 第3号 第1号に掲げる者が法人である場合にあっては、その役員及び使用人 第4号 第2号に掲げる者が法人である場合にあっては、当該法人及びその子法人の使用人」とあります。
上記の通り、内閣府令(施行規則)でも「 顧問税理士は外部監事に該当しない」と読み取れる記載はありません。そこで香川県総務学事課を通じて内閣府に問い合わせてもらいました。その回答は「顧問税理士だからといって直ちに外部監事に該当しないとは言えない。ただし今後、ガイドラインが発表された場合はそれに従う必要がある。また外部監事として就任した後も顧問を続ける場合は問題が生じる可能性がある。」というものでした。
「顧問を続ける場合は問題が生じる可能性がある」という部分をもう少し詳しく聞くと「決算書作成まで関与している場合は、自分で作成して自分で監査することになるので外部監事云々ではなく、監事として相応しくない」ということです。これは当然のことでしょう。逆に言えば法人側で作成した決算書等をもとに税務申告についてのみ関与するケースでは、これに該当しないと考えられます。確認すると「少なくとも香川県では問題視しないと考えている」とのことでした(これは担当者レベルの判断に過ぎませんが)。
ガイドラインに関しては年末に発表されました。詳しくは公益法人informationで確認できます。「第3章公益認定基準等(14)理事、監事の外部からの選任」101ページに記載があります。施行規則を補足する程度のものであり、顧問税理士に関わる記載は特にありません。結果、上記赤字部分の県からの回答で現状では良いのではないでしょうか。
これからもしばらく、公益法人関連の情報を発信していきたいと思います。香川県下及び近隣県でお困りの公益法人様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。