新しい公益法人会計基準

こんにちは、税理士の山下です。

令和7年4月に公益法人認定法が改正されます。(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 | e-Gov 法令検索 )これに伴うガイドラインと会計基準も併せて公表されています。今日は、新しい会計基準についてお話したいと思います。

令和6年12月20日に内閣府公益認定等委員会よる「公益法人会計基準」が公益法人information上で公開されています(20241220_01_kaikeikizyunn.pdf))。

まずは貸借対照表関係。4ページ目で「15.公益法人の財務報告における財務諸表の構成要素は、資産、負債、純資産、収益、費用とする」とあり「正味財産」ではなく「純資産」となっています。そして5ページ目で「24.純資産は、次の各号に掲げる項目に従い、当該純資産を示す名称を付した区分の科目をもって表示する。なお(1)(2)(4)がない場合には、区分は省略することができる。(1)基金(2)指定純資産(3)一般純資産(4)その他有価証券評価差額金」とあります。これまでの「指定正味財産」「一般正味財産」が「指定純資産」「一般純資産」と呼称が変わるようです。

また固定資産は4ページ目で「22.固定資産に属する資産は、有形固定資産、無形固定資産、その他固定資産に分類する。」とあります。これまでの基本財産、特定資産の分類から企業会計寄りのものへとなります。

正味財産増減計算書については、その名称自体が「活動計算書」となります。収益については「経常収益費用差額に含まれる収益の表示科目は、事業収益等の発生源泉を示す名称を付した科目をもって表示する」、費用については「経常収益費用差額に含まれる費用の表示科目は、活動別を示す名称を付した科目をもって表示する」とあります。これは例えば事業費については給料手当とか消耗品費とかの科目ではなく「〇〇事業費」という表示にしなさい、ということです。そう、まさしく16年基準から20基準での改正と真逆のものとなります。ただし通常の科目での明細は注記することになります。これも含めて注記をかなり詳細に記載しなければならなくなります。

細かい点については上記リンクで会計基準をご確認ください。また運用指針も併せて公開されています(20241220_02_kaikeiunyoshishin.pdf

今年の4月1日より、公益法人の制度が大きく変わります。香川県下及び近隣県の公益法人様でお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

公益法人の外部理事&外部監事

こんにちは、税理士の山下です。

久しぶりの投稿です。公益法人に関する制度が今年の4月1日から大きく変わります。その中のひとつに、外部理事及び外部監事の導入があります。

去年の12月初め。「顧問税理士に監事になってもらっているのだが、顧問税理士は外部監事に該当しないらしく困っている」という相談を受けました。

令和7年4月1日に施行される認定法の第五条(公益認定の基準)第十五号において「理事のうち一人以上が、当該法人又はその子法人(中略)の業務執行理事(中略)又は使用人でなく、かつ、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定めるもの。(以下、略)」とあります。また同第十六号においては「監事(監事が二人以上ある場合にあっては、監事のうち一人以上)が、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。」とあります。これが外部理事及び外部監事に関する記載ですが、どこにも「顧問税理士は外部監事になれない」と読み取れるものはありません。

もし該当するとするならば第十五号にも第十六号にも記載のある「その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者」です。これに関しては令和7年4月1日施行予定の認定法施行規則に記載があります。理事に関しては「第四条 法第五条第十五号の内閣府令で定める者は、次に掲げる者でない者とする。 第1号 当該法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員 第2 号 当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者 第3号 第1号に掲げる者が法人である場合にあっては、その役員及び使用人 第4号 第2号に掲げる者が法人である場合にあっては、当該法人及びその子法人の役員及び使用人」とあります。また監事に関しては「第五条 法第五条第十六号の内閣府令で定める者は、次に掲げる者でない者とする。第1号 当該法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員 第2号 当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者 第3号 第1号に掲げる者が法人である場合にあっては、その役員及び使用人 第4号 第2号に掲げる者が法人である場合にあっては、当該法人及びその子法人の使用人」とあります。

上記の通り、内閣府令(施行規則)でも「 顧問税理士は外部監事に該当しない」と読み取れる記載はありません。そこで香川県総務学事課を通じて内閣府に問い合わせてもらいました。その回答は「顧問税理士だからといって直ちに外部監事に該当しないとは言えない。ただし今後、ガイドラインが発表された場合はそれに従う必要がある。また外部監事として就任した後も顧問を続ける場合は問題が生じる可能性がある。」というものでした。

「顧問を続ける場合は問題が生じる可能性がある」という部分をもう少し詳しく聞くと「決算書作成まで関与している場合は、自分で作成して自分で監査することになるので外部監事云々ではなく、監事として相応しくない」ということです。これは当然のことでしょう。逆に言えば法人側で作成した決算書等をもとに税務申告についてのみ関与するケースでは、これに該当しないと考えられます。確認すると「少なくとも香川県では問題視しないと考えている」とのことでした(これは担当者レベルの判断に過ぎませんが)。

ガイドラインに関しては年末に発表されました。詳しくは公益法人informationで確認できます。「第3章公益認定基準等(14)理事、監事の外部からの選任」101ページに記載があります。施行規則を補足する程度のものであり、顧問税理士に関わる記載は特にありません。結果、上記赤字部分の県からの回答で現状では良いのではないでしょうか。

これからもしばらく、公益法人関連の情報を発信していきたいと思います。香川県下及び近隣県でお困りの公益法人様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。