こんにちは、税理士の山下です。
先月は「公益法人への立入検査」が多くあり、
単月で4件の立ち合いをしました。
その中で、問題になった点の1つを紹介します。
立入検査の際のチェックリストは、
当初は滋賀と鹿児島くらいしか公表していませんでしたが、
最近は、他の県も公開するところが増えました。
ちなみに香川県は、まだ非公開です。
私が手許で利用しているチェックリストは滋賀県のものですが、
基本的には、どの県も内閣府のものを使用していると思います。
その中の項目、P-01において役員報酬について触れています。
具体的には、以下の通りです。
≪検査項目≫
支給基準を公表しているか
≪確認方法等≫
支給基準をどのような方法で公表しているか。
また、定款で役員等は無報酬としている場合は、
そのことをどのような方法で公表しているかを確認する。
この検査項目の根拠は、認定法の20条第2項です。
確かに、公表しなければならないとされています。
問題は、「公表」の定義です。
立入検査を受けている法人様は、
規程を備え置いて、閲覧の用に供せる状態にしていました。
これが、駄目だと判断されました。
そして立入検査の総評で、
「支給基準をホームページで公表してください。」
との指導を受けました。
正直、
「なんでやねん。」
って思いましたね。
すぐに食らいつきました。
まず、1つ目の質問。
「『非公表』の場合は、開示請求があろうが公表しないってことですよね?
ということは、閲覧が可能であれば、『公表』していることになりませんか?」
そして、2つ目の質問。
「公告ですら、『事務所の見やすい場所に掲示』でOKですよね?
だったら、HPに載せなくても、事務所に掲示すれば良いですよね?」
正直、公告義務よりも重いものとは思えません。
この質問に対して県の方は、
公益法人の事務員の方に対して、
「広辞苑ってありますか?」
そして広辞苑で「公表」を引きながら、
「こんな時は、広辞苑で調べるんですよ。」
その結果、「公表」の意味は、
「広く世間に発表すること」
1つ目の質問に対しては、
「備え置いてるだけじゃ、『広く世間に発表』してませんよね?」
2つ目の質問に対しては、
「掲示しているだけじゃ、『広く世間に発表』してませんよね?」
ということになり、
私の反論は、却下されてしましました。
正直、
「こんな禅問答、やっとれるか!」
と思い、その場は引き下がりました。
そして、事務所に帰り、色々と調べます。
そして、以下のような内容のメールを送りました。
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この質問に対しては即答してもらえず、
内閣府に確認してから回答してもらえるようになりました。
その結果。
「法律上、『公表』について定義されてないので、
備え置いて、閲覧のように供すれば問題ありません。」
・・・。
あの、広辞苑のくだりは、
なんだったんだろうか・・・。
という訳で、
役員報酬の支給基準に関しては、
必ずしもホームページで掲載する必要は、ありません。
ここ最近、HP上で公表している公益法人が増えています。
同じような間違った指導が、まかり通ってるんだろうなぁと思ってしまいます。
おしまい。