こんにちは、税理士の山下です。
先週も書きましたが、某銀行の某支店に行った時のことを、
追加で記録しておきます。
現在、その銀行さんと経営改善支援の案件を持っているのですが、
その手続き上のことを、いろいろと相談しました。
その中で支援先が、単純に貸借対照表上ではなく、
実質的に、どのくらいの債務超過であると考えているか質問しました。
その答えは、なかなか厳しいものでした。
「例えば棚卸資産なら、月商の〇〇ヶ月分以上は、
バッサリを切りますね。」
まあ、これは経営改善計画とか再生計画での評価方法ではなく、
銀行の資産査定、つまり自己査定での話をしていたんだと思います。
経営改善計画や再生計画では当然、時価評価や処分可能価格で
評価されるべきであり、月商〇〇ヶ月分などと乱暴なことはできません。
しかし銀行が自己査定を行う際には、
財務DDなどが出来るわけではないので、一定の基準を設けるしかありません。
この場合、過大な在庫は不良資産or架空計上として扱うと言ってる訳です。
企業が経営不振になると、
債務超過になって銀行から借り入れが出来なくなることを恐れ、
いろいろな会計上の操作を行うことが有り得ます。
例えば、この本では以下のような初期の兆候を紹介しています。
・売上高の低下傾向
・不良債権の発生
・過大な在庫
・粉飾決算
・3年実質赤字
これらが認められたら、「要注意事態」であるとしています。
では「不良債権」や「過大な在庫」をどうやって判断するかですが、
売上から「だいたい〇〇回転くらいのはず」という一定の基準で、
適正な在庫や売上債権の額を判断しているのでしょう。
だから、企業側がなんとか債務超過を表面上は回避しても、
銀行は自己査定で評価し直したうえで、格付けをしてるんですね。
まあ、頭では分かっていることでしたが、
現役の銀行員の口から直接言われると、
なかなか厳しいな・・・、というのが率直な感想でしたね。
おしまい。