こんにちは、税理士の山下です。
今更ですが、
「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」
に関するネタです。
2月及び4月に行われたセミナー・研修で取り上げていたのですが、
一部、全く逆の見解で説明されていたので、備忘記録です。
元ネタ:国税庁消費税室
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf
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(月ごとに役務提供が完了する保守サービスの適用税率)
【問2】 当社は、事務機器の保守サービスを行っており、
保守サービスの年間契約(月額○○円)を締結しています。
この保守サービスについては、月ごと(20日締め)の作業報告書を
作成し、保守料金を請求しています。
この場合、施行日(平成26年4月1日)をまたぐ3月21日から
4月20日までの期間に対応する保守サービスについては、
新税率(8%)が適用されますか。
【答】
照会の役務提供契約は、月ごとに役務提供が完了するものと
考えられます。したがって、平成26年3月21日から同年4月20日
までの役務提供については、その役務提供の完了した日である
4月20日における税率(8%)が適用されることとなります。
(注)1か月分の料金を日割り計算する等により、
3月21日~3月31日の期間に相当する金額を算出することも可能
ですが、照会のような取引は、毎月20日締めとしている1か月分の
計算期間が一の取引単位であると認められることから、
その取引単位ごとに同一の税率が適用されます。
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太字になっている部分は、私によるものです。
この部分について、著名な税理士2名で見解が異なりました。
まず2月13日に行われた、MJS主催のセミナー。
講師は、植田卓税理士。
税理士試験の試験委員も務めた、有名な先生です。
セミナーでの休憩時間、植田先生に質問しました。
上記の太字の部分について、
「可能ということは、期間対応させて3月分は5%で良いか?」
という趣旨の質問です。
植田先生の答えは、NOでした。
つまり、
「理屈の上では案分計算が可能だが、
消費税申告は役務提供完了日の税率8%が求められる」
と言うものです。
次に4月16日に行われた、四国税理士会の研修。
講師は、熊王征秀税理士。
有名な、消費税の大家です。
熊王先生は、太字の部分は、
『例外として期間対応を認めている」と解説しています。
そのうえで、
「原則と例外が、逆じゃありませんか?
期間対応こそ原則であり、例外的に全て8%にすること認める、
になるべきじゃありませんか?」
と言っていました。
皆さんは、どちらの意見ですか?
私は、植田先生の考え方を支持します。
熊王先生の考え方も分かりますが、
少なくとも、このQ&Aは原則と例外を示すものではなく、
「役務提供完了日の税率8%でなければならない」と、
回答しているとしか、私には読めません。
ただ、これはあくまでQ&Aです。
法令でもなければ、通達でもありません。
また、今後も新しい見解が示されるかもしれません。
今年の3月、4月をまたぐ取引には、ご注意を。
特に金額が大きいようなら、事前のご相談をお願いします。
おしまい。