中小企業投資促進税制の拡充と注意点

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こんにちは、税理士山下です。

昨日、サンポート合同庁舎で開催された、

「産業競争力強化法(創業パート)及び中小企業関連予算・税制説明会」

という、とても長いタイトルのセミナーに行きました。

 

 

その中で「中小企業投資促進税制」の説明がありました。

細かいことは無視して、とても大雑把に言えば現行制度としては、

「30%の特別償却」または「7%の税額控除」のどちらかを選択するものです。

 

それが拡充され、

「即時償却」または「10%の税額控除」のどちらかを選択することになりました。

(実際には資本金額によって異なりますので、ご確認を・・・。)

 

で、ややこしいのが拡充部分の適用時期です。

この拡充部分は「産業競争力強化法施行日」から適用されます。

これは26年1月20日に施行されましたので、既に可能です。

しかし「平成26年4月1日を含む事業年度で適用」という条件が付いています。

 

ですから3月決算法人の場合、注意が必要です。

例えば今日、資産を取得・供用した場合、普通に考えれば適用されます。

でも「26年4月1日を含む事業年度」ではないので、適用されません。

では、どうするか?

次の事業年度(26年4月1日~)で、適用することになります。

つまり事業供用年度と税制措置適用年度が不一致となります。

ここまでは、分かってたんですよ。

 

で、事務所に帰りました。

すると岩村所長から、一言。

「研修、行ってたんですか?」

 

もちろん、行ってましたので、そのまま答えます。

すると、岩村所長から続けて一言。

上記の税額控除に関しての質問です。

 

 

「3月決算で、今期が黒字で、来期が赤字の場合、

  どうなるんかな?」

 

 

そう、このケース。

今期が黒字で税額控除したくても、

「平成26年4月1日を含む事業年度」ではないので、適用できない。

繰り越して翌期に税額控除することが認められているが、

その事業年度が赤字(欠損)の場合は、どうなるのか?

赤字なので、そもそも税額控除が出来ないはず。

前期分を、還付してもらえるようになるのだろうか?

 

 

正直、このケースを全く考えていませんでした。

しかし岩村所長の質問は、「単なる質問」ではありません。

 

「研修に行ってきたんだから、

                              当然、理解してるよね?」

 

あるいは、

 

「疑問に思わなかったの?

                       質問しなかったの?なんで?」

 

というメッセージが込められています。

このメッセージ、世間一般では「プレッシャー」と呼ばれています。

 

 

もうね、速攻で調べましたよ。

検索しまくりですよ。

 

でも最新の内容なので、全然のってないんですよ。

それどころか、間違えた説明を書いてる税理士も居たりするんですよ。

 

これは、web検索では無理だ。

税制改正大綱や参考資料も、細かいところまでは書いていない。

となると問い合わせるしかない、と結論。

 

時間は既に18:00を回っている。

税務署は、もう駄目だ。留守番メッセージになっている。

それに税務署では、まだ情報を把握していない可能性が高い。

そう判断し、中小企業庁財務課に電話しました。

 

結論。

繰り越した場合、翌期が赤字(欠損)なら税額控除は使えない。

 

ちなみに、上乗せ部分以外を使うことは当期で当然に可能です。

つまり繰り越さず、7%の税額控除を使うことはできます。

ただし3%部分は、翌期に繰越にはなりません。

ですから翌期の予想を基に、当期で7%の税額控除を使うか、

繰り越して翌期に10%の税額控除を使うかを判断しなければなりません。

 

これ以外にも、色々と税制が改正されますので、

詳しくは、担当者にお尋ねください。

 

                                           おしまい。

 

 

 

 

このブログ記事について

このページは、STAFFが2014年1月22日 10:00に書いたブログ記事です。

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