こんにちは、税理士の山下です。
公益法人の移行に携わっていることもあり、
他の非営利分野についても、色々と興味を広げています。
NPO法人に関しては、この本を読んでみました。
中田会計士は、公益法人関係でも出版物のある先生です。
それゆえか、公益法人との違いが分かりやすいような気がしました。
以前、実吉氏のセミナーを受けた後に手引き関係を読んでいたので、
NPO法人についても概略は一通り知っているつもりでした。
それでも、いくつかの新しい知識を得ることができました。
自分自身の備忘記録としての意味も含めて、書いておこうと思います。
1.予算管理を行うか否かは法人の任意。
そうは言っても、設立認証には活動予算書の提出が必要なはず。
公益法人関係でも、一般社団・財団は法令では予算について全く触れていなく、
また定期提出物にもなっていないのですが、では不要なのかと行政に聞くと、
「確かに法で義務付けられてはいないが、必要です」という不思議な回答だったりします。
2.無償・低廉な施設の提供、ボランティア等の会計処理を可能。
公益法人でも金銭換算して財務三基準で反映させることは可能ですが、
財務諸表そのものに記載することはありません。
NPOでは収益・費用で両建てして、財務諸表に記載することが可能なようです。
「受入評価益」及び「評価費用」lと明示し、更に注記をします。
3.使途等が制約された寄付金等の取扱い。
公益法人では「指定正味財産」として表示しますが、
NPOでは、重要性が高くない場合は注記だけでもOKです。
4.事業費及び管理費は機能別表示ではなく形態別表示とする。
これは公益法人(20年基準)でも同じですが、
「機能別表示」、「形態別表示」という表現を、初めて知りました。
形態別表示は、通常の会議費、旅費交通費といったものです。
機能別表示は、〇〇委員会費、××部会費という表示です。
5.NPO法人会計基準では、売上原価対立法を認めている。
一般的には三分法ですよね。
物品販売による収益事業の割合が小さい場合、認められています。
6.特定資産は、流動資産の部又は固定資産の部において、
当該資産の保有目的を示す独立の科目で表示する。
公益法人の場合は、特定資産は固定資産の部に計上されます。
そして指定正味財産or一般正味財産(or負債)との対応関係も表示されます。
NPOの場合、流動資産でも計上が可能であり、また正味財産との関連も
整合性を求められていないようです。
7.土地売却のキャピタルゲイン部分には課税しない。
「相当期間(少なくても10年以上)」の保有が条件。
公益法人同様の扱いになるようです。
8.実費弁償による事務処理の受託等。
公益法人と同じように、税務署長の確認をうけて収益事業としないことが可能です。
9.補助金取扱い。
これも公益法人同様に、固定資産の取得・改良等に対する交付であれば、
収益事業用のものでも益金に算入しなくても良い。
10.特定収入に係る仕入税額控除の特例
消費税法別表第三では、直接には挙げられていませんが、
「みなし」で、公益法人と同様に対象となります。
細かい点を言えば、もっとあるのですが、
とりあえずキリの良いところで止めておきたいと思います・・・。
NPO法人の県への提出物については、web上で公開されています。
http://www.pref.kagawa.lg.jp/kenmin/vnpo/houjin/topics_top4.htm
資金面の関係から、専門家に頼むことなく作成されている法人も多いようです。
しかしながら、先般の法改正により認定NPOあるいは仮認定NPOを目指すには、
会計面での整備が必要なはずです。
当事務所では、公益法人制度改正で培ったノウハウを、
NPO法人の皆様にも、ぜひ役立てていただきたいと考えています。
お困りの皆様、ご連絡ください!
お待ちしております!
おしまい。