政治資金監査に対する誤解

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こんにちは、二見事務所の山下です。
今日のMSN産経ニュースで、政治資金監査に関する記事がありました。
思うところがあり、エントリーしました。

以下、一部転載。
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政治家の"懐具合"を示す政治団体の平成21年分の収支報告書が30日、出そろった。今回から新たに国会議員関係の政治団体に政治資金監査人による監査が義務付けられたが、民主党議員の収支報告書には、キャバクラでの飲食費や仕分け人からの献金など「?」がついてしまうような項目が並んだ。監査制度はきちんと機能したのだろうか
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キャバクラ以外にも、クリオネのレンタル料やアリスの復活コンサート代などがあるようです。
政治資金監査制度を詳しく知らない人がこの記事を読んだら、どう思いでしょうか?
(多くの人が、内容の殆どを知らないでしょう)
『 「監査制度」というものが有るにも関わらず、きちんと機能していない。 監査人(弁護士、会計士、税理士)が、職務を全うしていない。 』
そう思うのでは無いでしょうか?
でも、全く違うのです。

このことは、「政治資金監査Q&A」を読めば明確です。
以下、一部転載。
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QⅠー2
政治資金監査の結果、政治団体に係る支出とは判断できない支出が分類されている場合、どのように対処すればよいのか。外形的・定型的監査にとどまらず、使途の妥当性についても登録政治資金監査人が判断するべきではないか。

AⅠー2
政治資金監査は、政治資金の使途の妥当性を評価するものではありません。これは、政治資金の透明性の向上を図りつつ、同時に、政治活動の自由の確保の要請にも応えるべく、国会における議論の結果、外形的・定型的な監査とすることで合意されたものです。
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つまりキャバクラでの飲食費が収支報告書に一時的にでも記載されたのは、
「監査制度が、きちんと機能した」から、なのです。

では、どのような状態が「機能していない」と言えるのでしょうか。
それは、このような支出が金額的には収支報告書に含まれているものの、
その資金使途が正確に表されていない状態の場合です。

今回の政治資金監査では、
キャバクラで使ったお金は、「キャバクラで使いました!」
クリオネのレンタル料は、「クリオネをレンタルしました!」
アリスの復活ライブのチケット代は、「 You're King of Kings ! 」
と、きちんと報告させているのです!
(一部、ウソがあります。ゴメンなさい。)

登録政治資金監査人は、法的な枠の中で適正に監査し、
その支出内容を、有権者に分かるよう公表させているのです。

もちろん政治資金監査制度は、巷で言われるように不完全な制度と私も思います。
しかし、「制度としての不備」と「制度としての機能」をゴチャ混ぜにしてはいけません。
現行制度での機能を「キチンと果たしている」、と私は考えます。

実際に監査に携わった先生方の名誉のため、
こういった記事を書く際は、もう少し注意を払っていただきたいと思います。
記事を書いた方も、恐らくは「監査制度の不備・不完全さ」を訴えたいのでしょうが、
もう少し慎重にならないと、一般の方に誤解を招きかねません。

なにはともあれ、始まった政治資金監査制度。
私も登録政治資金監査人に登録しています。
今後の動向に、注視していきます。








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このページは、STAFFが2010年12月 1日 14:30に書いたブログ記事です。

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