岩村事務所の有塚です。
いつも遊びネタが多いので、たまには仕事ネタ。
数か月前の話ですが、私が担当するお客様から慰安旅行について
ご相談がありました。
従業員さん等、旅行の参加者が受ける経済的利益について課税
されないための要件は、所得税基本通達36ー30とそれに関する
法令解釈通達に書かれています。
その内容とは、社会通念上一般的に行われている旅行であること、
不参加者に対して現金等を支給しないこと、旅行期間が4泊5日以内
(機中泊除く)であること、旅行の参加者が全体の人数の50%以上で
あることなどです。
こういった内容を説明させていただき、最後に「会社が負担する金額は、
10万円程度までにして下さい。」と付け加えました。
この10万円という金額は、実務上採られている基準であり、法令にも
通達にも書かれていません。
では、なんで10万円なんでしょう?
調べてみると、岐阜地裁の平成14年4月11日判決の中に、それらしい
判示事項がありました。
でも、私が岩村会計に入った頃(平成8年)に
すでに10万円程度という基準はあったようにも思います。
税務署内の事務連絡にも10万円基準はあるようです。
そういえば私がまだ新米職員だった頃、担当のお客様と、こんなやりとりが
ありました。
お客様 「10万円程度って、いくらまでいいんですか?103,000円はいいですか?」
私 「いいと思います。」
お客様 「じゃあ、105,000円は?」
私 「いいんじゃないですか?」
お客様 「じゃあ、108,000円は?」
私 「いいのかなぁ。」
お客様 「110,000円は?」
私 「・・・」
まるでバナナのたたき売りのようなやりとりでした・・・。
「10万円程度」とか「社会通念上一般的に行われている」とか、
本当に曖昧な表現ですね。
結局、課税されない慰安旅行とは、金額のみならず旅行内容や頻度で
判断しますので、1泊10万円もする高級旅館への1泊2日旅行は、社会通念上
一般的といえるか疑問ですし、10万円を少し超えたとしても普通の3泊4日温泉旅行
なら問題ないのではないでしょうか。
「慰安旅行なんて行きたい所へ行けるとは限らないし、行きたくなくても仕方なく
行く人もいるし、仕事の一環のような感じもあるから少額なら課税しなくても
いいんじゃない?」というのが趣旨なんでしょうね。
ちなみに、国税庁のホームページのタックスアンサーの中に課税される事例、
されない事例が3つほど載っていますので、興味のある方はご覧ください。
しかし、この不景気なご時世、慰安旅行を実施できること自体、すごいことです。
慰安旅行の相談で悩まされるようになっても、早く景気が良くなってほしいものです。